ノエル・ギャラガー 神がかり的天才に

NMEから2012年に「神がかり的天才」(Godlike Genius)の称号を授与されたノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)。

天才の定義は分からないけど「Don't look back in anger」を書いたときのノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)はきっと天才だったのだろう。曲を書いた本人も、そして最初に聴いた人たちも、それどころかOasisがネブワースで25万人を集めて「This is History!!」ギグを演ったときでさえ、この曲が2012年にもなってこれほどの意味を持つことなど誰も想像しなかっただろう。つまるところ、人の想像を超えていった曲を生みだしたからこそ、ノエルは「神がかり的天才」(Godlike Genius)にふさわしいと思う。

曲の良さとか、そんなものは小さなことだし、ヴォーカルという意味ではノエルの歌は上手いけどアマチュアくさいところがある。それでもこのビデオで、みんなが幸せそうな顔をして、踊りながら一緒に同じ歌を歌っているというだけで、天才の成せる技とはこういう事だと十分過ぎる程に物語っている。

天才というのは、人に幸せな時をもたらす状態のことを言っているのかな、と思います。

こんな空間を作れるのはノエルしかいないよ。Oasis のときのようにみんなが切望するような圧倒的な存在感ではなくて、ただ単に心に届く、みんなで一緒に幸せになれる歌があるだけじゃないか!!

これはかつてノエルが「Champagne Supernova」の作曲について言ったこと。

この曲は、憧れていたバンドについて「結局あいつらは俺のために何もしてくれはしない」と気づいた状態を書いてるんだ。ガキの頃は、Sex Pistolsは世界征服をして、誰も彼らを止められないなんて思うもんだろう?The Clashみたいなバンドはすぐに消えていった。パンク・ロックは確かに革命ではあったけど、何を残していったんだ?何も、さ。マンチェスター・ムーヴメントは歴史上でも最高の旋風になりそうだったけど、結局今は何も残っていない、そうだろ?だから俺たちは Oasis を始める時に、誰かのためなんて考えずに、ただ最高の曲を残していこうと決めたんだ。まあ、いくつかの歌詞には意味なんて無いんだけどね。

まあ、いくつかどころか「Don't look back in anger」なんて、「ほとんど」の歌詞に意味を見出そうとしても無理なんだけどね。でも言う通り、「最高の曲を残していくこと」はやってるよ、さすが神がかり的だ。そして何度も歌っていると、その内に意味が出てくるような気がする。意味とはそうやって作られていくもので、意図するものではないと思う。

なので、僕も自分で何かをやるときには「誰かのため」なんて大仰なことは考えずに、ただ自分の出来る限り最高のことをすればいいんだと決めたよ、ノエル。たぶん、音楽以外についてはアホなところ満載だけど、それが良いんだよな~ノエルは。たぶん、わざとやっているんだろう。

100年後の人たちからしたら、OasisThe Beatles も同じようなものかもしれないので、自分が好きな音楽を聴けばいいんじゃないの?ど~せ、その頃にはまた新しい「天才」が「歴史」に残る音楽を作り出しているはず。今、あるものにも感謝しよ~。