Beady Eye を聴くと。。。

1990年代の半ばから後半にかけてティーン・エイジャーであったということは、言葉の意味はさておき、Wanderwall を聴いていたということであり、Don't look back in anger の歌詞を空で覚えているということであり、Live Forever のアウトロではジョン・レノンの顔が浮かんでくるということです。全ての曲はノエル・ギャラがーにより生みだされた訳ですが、フットボールスタジアムや巨大公園に何万人もの人々を集めたのはリアム・ギャラガーの声だと思います。

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Photo credit: letobladioblada via Visual Hunt / CC BY

ノエルは「レディオヘッドなんて、イヤフォンで聴く音楽じゃないか」と言いますが、リアムの声抜きには Oasis の曲だって。。。どうでしょうか。

そんな想いを持ちつつ、今になって Beady Eye を聴くと個人的には、ちょっと切なくなります。バンドの曲は正直言って、ノエルの書く歌に比べると質が一段落ちると思います。いや、もしかしたらノエル・ギャラがーの音楽に教育されてしまった耳と心が勝手にそう感じているだけかもしれません。

ただリアムの声は今でも最高です。もちろんリアムの声がベスト・オブ・ベストなのは1995年のグラストンベリー・フェスティバルでしょう。まったく、いとも簡単に、何の努力も労力も払わず、後の「史上最高のフロントマン」はバンドの存在を定義づけるようなパフォーマンスを魅せてくれてます。

何って、ただ突っ立ってがなりながら歌っているだけなんだけど、それがとてつもないエネルギーと可能性を放っているのだから。リアムは自分の凄さをどこまで、どのように理解していたのか、ステージ上でギネスを飲みまくっている姿からは分かりません。

時は経て、2012年の今はリアム「Beady Eye のフロントマン」です。

「Beady Eye のフロントマン」は「Oasis のフロントマン」に比べてどうなのかは、この目で観ていないので何とも言えませんが、リアムの声は今でもこんがらがった心を解きほぐしてくれるだけのマジックを持っています。まあ、これは個人的にそう思うってことですけど。

「The Beat Goes On」はアンディ・ベルの書いた曲ですが、リアムが歌うと世界はこのまま続いてゆくような気分になります。この曲を初めて聴いたのは車の中のラジオからで、FM だったのか AM だったのか、それすらも定かではないし、ちょっと参っていた時でした。誰の人生にも起こるとは思いますが、自分の手に負えない状況にたたみ掛けられるような、そういう時期のことです。どこかで聴いたような曲だな~と思って耳を傾けている内に、懐かしさがこみ上げてきて、空を見たら(運転はしてませんよ)「なんだリアムの声じゃないか」と気づきました。

それで、なんだ何も変わってないじゃないか、と我に返りました。

So long, so long
 (↑これは It wont be so long until ~ のことでしょう。まあ当り前か) 
Someday all the world will sing my song
Still life amaze
Somewhere in my heart the beat goes on


訳するまでもなく、はっきり言って歌詞は陳腐です。誰でもこういうのは思いつくし、目新しいことを歌っている訳でもない。歌詞に使われている単語だって、イエロー・サブマリン並みに簡易なものです。おそらく、歌詞をメロディにのせるというよりは、こじつける書き方をしている。

ノエルはメロディに曲の持つ力を引っ張らせて、意味のない歌詞をメロディにのせることを連発して名曲にすることが出来る。要は音節の区切り方が、話し言葉としては滅茶苦茶なんだけど、メロディとしては秀逸なのです。レノン&マッカートニーもそうです。

この曲の割り振り方だと、言葉の意味を伝え過ぎたいが為に、メロディの良さが失われてしまっている。

けれど、リアムが歌うとそれが本当に素晴らしいことに思える。そう思わせてしまう。リアムが歌うなら、きっと現実はそうなるんだろう、とついつい一緒に Sing Along してしまう。それがリアムの凄さであり、人を実際に動かす程の力を持ちえる声の力。

こんな声があって、ノエルの曲があって、それが組み合わさったのは奇跡みたいな事だったんだ、でもそれは実際に起こったことです(Blur の End of Century みたいだ)。

今まで、Oasis ってのは自分たちの好きでバンドやって、好き放題に生きてきてるんじゃないか、と当然のように思っていたよ。でも、誰だって良い音楽をつくるのは時間と労力がかかるし(絶好調時のポール・マッカートニービリー・ジョエルノエル・ギャラガーは瞬間的に名曲を生み出せたようだけど。。。)、バンドを10年以上続けて世界中をツアーして周るのだって並大抵のことじゃないでしょう。そう、今までリアムがバンド続けていたことに感謝したことはなかったけど(なんか、そういうキャラですよね)初めて「ありがとう」と言いたいな、と思いました。いや、マジで。

Beady Eye は、2012年のフジ・ロックの為に来日するし、そこでは「Oasis の曲も演る、良いタイミングだ」とリアムは言うけど。ツイッターとか facebook では否定的なコメントが多く寄せられていて、それに対して「良く聞け、ライブで演奏するだけだ。レコーディングし直す訳じゃないんだから」とリアムは冷静だけど、本当に演るのかな。

日本で、マジで!?ストーン・ローゼスのリユニオンギグで最初に演るんじゃないのか?だってマンチェスターだよ。う~ん、逆にマンチェスターの方が微妙なのかな。遠い極東の国で始めることが良い場合もある。Definitely Maybe でその存在を知らしめ、(What's The Story)Morning Glory? で ビートルズの再来と世界最高のバンドの称号を手に入れ、膨れ上がった期待を大きな失望に変えた Be Here Now を経て、Oasis の4枚目のアルバム Standing On The Shoulder Of Giants をリリースした時のワールドツアーは日本からだったので、色々考えることもあるんだろうな。日本には The Sun や NME や Daily Mirror も Q magazine もないし、Xfm もないし、スカイニュースを放送している訳でもないしね。

ストーン・ローゼスもフジ・ロック来るし、いいのか。いずれにせよ、2012年の7月27日金曜日に苗場で起こる出来事は youtube にずっと保存されるだろう、なんて。

まずは苗場まで行かないと。。。そして2015年に奇跡が起こりますように。それまでちゃんと生きていよう。。。