カリーヌ・ロワトフェルド インタビュー on The Observer, December 2011

カリーヌ・ロワトフェルド。陽気で面白くてアーティスティックな元フランス版 Vogue 編集長。その良さを最近感じはじめてきてしまったので、インタビューを読んでました。60歳近い女性にはみえない!!どこかに女の子の部分をのこしてあって、それを自分の中で大切にとっておける人なんだろうなと思いました。単に、そういう女性が個人的に好きなだけかも知れない(笑)

Carine Roitfeld, ex-Vogue editor: 'Never ever share your daughter's wardrobe'
France's fashion doyenne on Russian novels, why the English are so cool, and how to dress your age

Interview by Elizabeth Day The Observer, Sunday 20 November 2011

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Photo credit: Dusty J via Visual hunt / CC BY

あなたの新刊「Irreverent」のお祝いに、ヴァンパイアの衣装をテーマにしたパーティをしたそうですね、パリで。「トワイライト・サーガ」の隠れファンですか?

いいえ、そんなことないわよ。新刊の発売についてはロシアのナイトクラブでやったのよ。「ラスプーチン」っていうところでね、内装はぜんぶ赤と黒なのよ、ヴァンパイアのテーマに完璧なところだと思ったわ。仮装するのも簡単よね。男の子ならタキシードとキバをつけて、女の子なら黒でメイクアップすればいいんだもの。

誰が最高のヴァンパイアでしたか?

女の子ではKarli Kloss [アメリカのモデル]、とCiara [歌手]が素晴らしかった。男の子だとRiccardo Tisci [ジバンシーのクリエイティブ・ディレクター] と Olivier Theyskens [ファッション・デザイナー]かな。

あなたのお父さん、Jacques Roitfeld はロシア映画のプロデューサーでしたよね。あなたはパリで育った、それでも自分がロシア人だと感じますか?

ええ。ロシア語を少しは話せるし、読み書きできるわ。おばあちゃんから学んだのよ、あらゆるロシアのおとぎ話を使ってわたしを育ててくれたの。トロイカ (ロシアの 3 頭立ての馬車)と美しいお姫様の出てくるロマンチックな古きロシアの世界ね。ロシアにいたり、ロシアの作家たちと過ごしていると、とても良い気持になるわ。いつもドストエフスキーを読んでいた。ゴーゴリは大好き。彼らの本の中にはわたしの中の何かがあるように感じる。ロシア人ってすごい人たちなのよ。思いやりがあって、でも同時にクレイジーなの。いつだって何か言うことがあるし、わたしはそれが好き。

スタイリスト、そして2001年から10年ものフランス版 Vogue編集長の間に、あなたはいくつかの極めて印象的なイメージを創りだしました。「Irreverent」の中にある多くの写真の中で、いくつかのテーマが繰り返されています。生の肉、ハサミ、血。心理学者ならこれらをどうとらえるでしょうか?

それにはまず、心理学者に会ってみないとね!わたしはノスタルジックに浸るような人間じゃないのよね。決して過去を振り返らない、いつも忘れてしまうの。わたしはとてもプロダクティブだった。たくさんのものを作り出して、その70%は忘れてしまうの。だからこれまでの仕事の記録を振り返ったとき、それぞれのテーマをみるのは面白かった。小さい女の子だったときママのためにお肉をカットすることが好きだったわ。それから、ハサミと血とタバコにまみれた写真をたくさん撮った。今現在、自分の新しい雑誌のためには、新しいレシピを見つけないとね。同じテーマに戻ってもみんな退屈してしまうと思うわ。わたしはわたしに退屈しちゃう。夫はタバコをやめようとしているの、だから写真にタバコを使うようなことはないわね。新しい決断よ。

あなたはタバコを吸いますか?

わたし?吸わないわ。

一般的には、ファッションエディターとモデルはタバコを吸ってブラックコーヒーを飲んでいるからスリムなのだと思われているんですが。。。

わたしはタバコは吸わない、食べるものは食べる。わたしはスリムだけど、それは父のおかげよ。たくさんのモデルがスリムでいるためにコーヒーを飲んで、タバコを吸っているのを知っているし、本当のことよ。でも、それは賢いことだとは思わない。わたしには子供がいるから。写真の中では子供だちに良くないものは見せないようにする。Vogueでは、わたしは拒食症の女の子を起用したことはないの。曲線美のある女性の方が好みね、ララ・ストーンみたいな。彼女は素晴らしいわ、わたしにとってはいつだって女性というものが服よりも重要なものなの。女性を「モノ」みたいにあつかったことはないし、いつだって女性としてみてきた。ほとんどの場合に、グラマーなモデルたちを起用してきたのよ。

昨年の12月にあなたがVogueを離れるというアナウンスは、ファッション業界に衝撃をもたらしました。寂しい気持ちはありますか?

ええ、もちろんよ。ひとつのところに10年も居たのなら、最初は人寂しくなる。産後うつのようになったわ。でもすぐに新しいことを始めたし、仕事を止めたわけじゃなかった。休暇をとったわけじゃないし、後悔する時間もなかったのよ。今じゃ前よりもポジティブになったし、新しいプロジェクトもあるの。

Vogue にいたときは「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープみたいなふるまいをしましたか?

しないわよ。ファッション業界はあの映画とはまったく違うものよ。もちろん、時にはお堅く厳しくになる必要もあった。でもわたしはそこまで厳しい人間じゃないから。自分には厳しいけれど、他の人にまではそうじゃない。素晴らしい人たちに囲まれていたら、彼らのすることを信じるべきだし、彼らに自分を表現させなきゃね。

ファッションに関する最初の思い出は何ですか?

60年代に小さな女の子だったときのことかな。ママはアイライナーをうまく引けなくてね。わたしはよくママがエミリオ・プッチのドレスを着るときにやってあげてたの。自分にはできないのよ!!でもママにしてあげることはできたのよね!!

あなたはしばしば、ファッションアイコンとして挙げられます。ご自分でそう思われたことはありますか?

自分のことをそうは思わない。わたしには自分のスタイルがある。たいていは、身体にフィットしたスカートにジャケット、ハイヒールにタイツ。それがわたしに一番似合うの。

ジーンズを履いたことはありますか?

もちろんよ!ジーンズを履いてVogueに行ったことはないけれどね。アシスタントがジーンズを履いていたわ、わたしは周りと違って見える必要があったのよ。でも休日にはジーンズを履くわよ、家ではレギンスを履くことが多いわね、わたし家でバレエをするから。

あと3年で60歳になられます。若さにとりつかれた業界で、年齢を重ねることは心配ですか?

年齢を重ねるとき明らかなことは、最高のクリームを肌にぬって、美しいままでいよう、っていうメッセージがあるってことよね。でもね、わたしが思うに時には何もないよりも小じわがあった方が美しいことだってあるのよ。最も大切なことは姿勢よ。あなたが年齢を重ねたとき、その歩き方、その立ち振る舞い、それを見せるのよ。

ご自身を服にたとえると、どんなものでしょうか?

黒のスリップドレスかな。服を脱ぐとき、最後にこれを着ていると美しいでしょ。

イギリスのスタイルのセンスはフランスのものとは違いますか?

ええ、そうね。イギリスの好きなところはとってもクールなところ。見た目で人を判断するようなことがそれほどないでしょ。通りを歩いていてタトゥーを入れたパンクロックの髪型をした人がいるとすると、イギリスの人たちはその人に視線を向けたりしない。とても自然なことなのね。わたしはそういう空気が好きよ。だってフランスで同じことをしていたら、みんなまじまじと視線を向けるもの、それも良い意味ではなくてね。

ケイト・ミドルトンの服装は良いと思いますか?

彼女は素晴らしいボディラインをした、素晴らしい女の子。服の着方もとても良い。イギリス人のデザイナーの服をよく着ているけれど、それはとても良いことね。

Observerの読者にスタイルに関するアドバイスを一ついただけるとしたら、どんなものでしょうか?

年齢を重ねていくとき、娘と服を共有しないこと。絶対にしないこと。デニムジャケットにミニスカートを履いても美しいなんてことはないの、たとえどんなに綺麗な身体をしていたとしてもね。年齢にふさわしい服を着るのよ、そうでないとばかげて見える。まるで20代のように服を着ている50代の人たちがたくさんいる。5年ごとに自分の服をかくにんするのよ、そしてこう言うの「わたしの足でこの服をきてもいいかしら?わたしの腕でノースリーブはふさわしいかしら?」とね。そして自分にふさわしいものを淘汰して選びぬいてゆく。愉快なことじゃないわね、でも必要なことよ。

お嬢さんの服をかりたことはありますか?

ないわ。わたしが着られなくなった服をあげるのよ。今じゃ、娘の方がわたしより良い服をそろえているわ。