アデルはバーバリーしか着ない

デジタル時代の幕が明けて早幾歳、すでにインターネットは革新性を失い、ふつうのものになり下がった。ので、ふつうに広告とかメディアの手段として使われることになった。SNSも同じだ、ふつうのツールになった。

そんな中バーバリーはデジタル時代での仕掛けをしていますが、今度はアデルの衣装を手がけるそうです。デザイナーかつCEOのクリストファー・ベイリー自身が手がけるとのこと、うらやましいなぁ。

ベイリー曰く「アデルと仕事ができるということは本当に特別なことです。彼女は素晴らしいアーティストであり、人生へのアプローチ、ユーモアセンス、天性のスタイル、恐ろしくパワフルで心を揺り動かす声でのパフォーマンスは賞賛しかありません」だとか。

アデルは2016年の11月半ばまでに105ものギグをすることが決まっているし、Facebookフォロワーは65,000万人くらいいる。そこまでのメディアは基本的にない。そこらの雑誌がどんなに頑張ってもアデルに勝つことはできない。バーバリーの服はアデルのギグ体験とともに世界中の人々の感情と結びつくだろう。いい施策だと思う。

バーバリーは結構デジタルの本質をとらえているかもしれない。最近バーバリーがやったことと言えば、こんな感じ。

・LINEでファッションショーをリアルタイム中継
・ショーの発表と同時に新作を買うことができる(ショーの常識を変えてしまう)
・アデルのツアー衣装を手がける

デジタルでの本質は「やってしまう」ということにある。新しく店舗を開くことや、大がかりなTVCMを打つことに比べて低予算で、かつ素早く実行に移せる。なので、あまり考え過ぎてこねくりまわす意味がないが「お仕事」をしてきてしまった人たちはそれが出来ない。パワーポイントで作った資料がないと何もできないんですか~?と疑いたくなるくらい、頭で瞬時に計算して概要をつかむことが下手くそ。

クリストファー・ベイリーは今よりもずっと前からショーの前の様子を撮影したビデオにも登場しYoutubeでその姿をさらしてきた。とにかくやってみた、の積み重ねがデジタルでの展開にフィットしていると思う。

そしてやってしまう、ことの恩恵は他にもある。ショーで発表したコレクションをその場で買える、ということは、ショーまでに商品を揃える流通システムを裏で組み上げるということだ。そのシステムは機能すれば高く売れるだろう。Amazonは赤字になろうがおかまいなく、どんどんと新しいことをやってしまい、気がつけば小売会社だったのが、クラウドサービスを支配できる可能性まで出てきている。やってみてしまうところが、バーバリーも似ている。 

ちなみに、アデルのようなメガ・スターをこき下ろすことで、記事を書かせて自分の宣伝をしてしまうことを「ノエル・ギャラガー マーケティング」という。テストには出ないよ、テストつくるやつってバカばっかだから(笑)←とにかくこうやってこき下ろせ!