アナ・ウインター 小話 その15 アナ様の名言

どうも、アナ・ウインターの名言を探している人が多いように感じるけれど、アナ様の言葉よりも、個人的にはノエル・ギャラガー「バンドやってるやつは、たいていアホ」の方がはるかに含蓄があって最高の名言だと思っているので、アナ様の言葉には結構無関心だったりする。US VOGUE のアナ・ウインターの文章は毎月読んでいるけど、実のところ心を動かされることは少ない。「ふ~ん」という感じで軽く読んで終わっちゃう。アナは自由な発想と大胆な行動力を持ったビジネスパーソンという感じがするかな。

プラダを着た悪魔」や「氷の女王」的な、かのアメリカ版VOGUE編集長が言い放つ言葉は、時として名言というくくりをつけてしまえば、ある意味では格好いいものになるかもしれない。でも、そんな格好よさはかりそめのもので、にせものです。自分と向き合う方が1000倍格好いい。そこで自分でみつけた、自分で感じられた言葉が本物の名言です。

でも、個人的に好きなものは一つある。

'Say goodbye to the oldies but goodies, because the good old days weren't always good and tomorrow ain't as bad as it seems.'

「古き良き時代に別れを告げるべきね。だって、古き時代がいつも良かったとは限らない。明日だってそれほどわるいようにはみえないもの」

大体において、名言を探したいときってのは明日が憂鬱なときなので、憂鬱な明日を吹き飛ばすという意味では、この名言はまったく持って役に立たないかもしれない。けれど「明日だってそれほどわるくないかも」って思いながら毎日生きている人と「明日もゆううつな日々だ」と思って生きている人では、何十年もするとかなり大きな違いとなって人生に影響を及ぼすことだってあると思う。それが自分でも出来てりゃ、これを名言だとは思わないんだけどね(笑)

きほん的に「未来を信じられる」、それは「未来に生きている自分を信じている」、と同義だろうけれど、そういう人がアメリカ版VOGUEの編集長なのです。じゃなけりゃVOGUEといえども、ただの情報雑誌になって終わっちゃうよ。そんなのフリーペーパーで十分でしょう。ただ、ファッションへの情熱とかうんぬん抜きに自分たちが生きている未来を信じることなら、どんな生き方をしていようが、誰にでも始められることだと思う。

名言が本当に名言として心に響いてくるのは、人生を自分なりに生きてきたところで、自分のこれまでのやり方ではうまくいかないということに気づいて、新しいやり方を手に入れたときだと思う。だいたい、そこまでこれた人というのは、人に心から感謝できるくらいになっているので、心に誰かの言葉がしっくりとはまる余裕ができているんだと思う。

たぶん、ゆううつなときは「アナ・ウインター 笑顔」(Anna Wintour Smile)で検索して、笑顔の価値に一票入れた方が良いと思うよ。名言よりも、あなたの笑顔の方が一億倍も価値がある!!
 
名言なんか知らなくても、笑えるなら、そっちの方がおれは良い!