Oasis のベストアルバム

Oasisのベストは「Definitely Maybe」?それとも「(What's The Story)Morning Glory?」?「Definitely Maybe」は雷に打たれたような衝撃をくれるし、「(What's The Story)Morning Glory?」はいつまで経っても色あせない輝きを放っている。

でもある意味で、Oasis の記念碑的なベストアルバムは「Famillier to Millions」だと思う。「Famillier to Millions」は 昔の Wembley Stadium で行われた大規模ライブを収録したもので、オリジナルアルバムですらない。奇跡的にリアムが一日だけ酔っ払っていない日があったので、商品として成立する録音が成功した!!リアムは25万人を集めたネブワースだって1日しかやらないと決めつけて、飲み過ぎて、2日目のライブのことはリアムは全く覚えていないらしい。当時はそれこそがある意味でOasisの定義だった。ちゃんとライブが最後まで行われれば奇跡だ!!というのが、ある種の共通理解だったし、魅力でもあった。ノエルの心労は誰にも理解できないだろうな(笑)

会社で働いている人からすれば、非常識極まりないけれど、そういう世界なんだから、まあいいではないですか(笑)

「Famillier to Millions」が何をもたらしたのか、それは「Don't look back in anger」のサビで観客が大合唱する様が記録され世界中にそれが広まったこと。「Don't look back in anger」はノエルではなく自分たちが歌うものなんだ、と世界中が認識した瞬間を生み出した。それはアールズコートでも、メインロードでも、ネブワースでも起こり得なかった現象なのだから。

まだ youtube なき時代、Google が株式公開する前の時代、つまりはインターネットを介して世界が今ほどに繋がりを持たない時代に、世界中の Oasis ファンは正規のCDよりも高い金を出してブートレグCDを買っては、ライブの熱気と興奮を追体験するしかなかった。けれど、「Famillier to Millions」のCDを手にすることで、かのWembly Studiumで起こった「Don't look back in anger」の大合唱を間接的に体験することで自分たちも思いきり歌って良いことを自分たちに許可した。DVDも出たから映像でもだけどね。映像で言えば、「Don't look back in anger」のサビでカメラがノエルでなくオーディエンスに向けられた瞬間のことだと思う。

とにかく、その瞬間から「Don't look back in anger」Oasis の曲じゃなく、みんなの曲になった。

イギリスから遠く離れた日本では、「Famillier to Millions」のリリースから5年を経た2005年のサマーソニック、8月の湿気と夏の夜特有の熱気を含んだ幕張での出来事、15曲目に演奏された曲のサビにさしかかった時、遂にノエルはマイクから一歩下がり、その瞬間「Don't look back in anger」は日本のファンの曲にもなった。これも記念碑的瞬間。この間、長かった。。。

でも、みんなで一生懸命うたってきたんだよ!! 

そういう訳で、Oasis のアルバムがあまり売れていない、ましてやライブアルバムなんて買わないよ、というUSでのライブでは大合唱が起こることはない。ノエルは一度はマイクから一歩後ずさりをして、観客にサビを任せて演奏だけするけど、2度目のサビでは思いきり自分で歌ってしまっている。

ノエル・ギャラガー、ハートが強い。

とは言え、ブエノス・アイレスでも、サン・パウロシティでもリマでも、バルセロナでも、ミラノでもパリでも、東京でもソウルでもキエフでもモスクワでも、ロンドンでも、もちろんマンチェスターでも、世界中のありとあらゆる都市で「Don't look back in anger」の大合唱は起こる。しかも、それが時間をかけてアクチュアルな体験として人々の中に積み重ねられていっている。しかも何故か歳を重ねる毎に、毎回新しく若い子たちが観客として増えているという奇跡的なことが起こる。それは「T in the Park」でのビデオを観ても明らかだし、フジロック大自然の中で、心もとない都市歩きようの小さなリュックサックを背負っている若い子を観ると、そういうのは実感する。

どうやって Oasis に辿りつくのだろう?何時の間に歌詞を全て覚えてしまうのだろう?

インターネットのアクセスデータとか、視聴率とか、広告効果とか、そんなもの解析しないで、どうやってその感動に辿り着くのかを調べて欲しいよ、優秀なビジネスマンの方々よ。そうやって心震える瞬間を増やすことって大切でしょう?

とりとめのない文章の趣旨は、何がきっかけで、どんな現象が生まれるかは神のみぞ知るということです。そして、人に出来るのは自分のやれることをやるだけ。15年以上をかけて、「Don't look back in anger」を世界中にリアルな体験として提供し続けてきたノエルは、99パーセントの努力をしてきた。それはビートルズでさえ、出来なかったことだから。だから、ついには神様がそっと背中を押してくれて、奇跡的な瞬間を5分弱くらい生み出すことが出来るようになった。

なので、そういう意味でやっぱり Noel gallagher is God って言いたくなるんだろうなって思う。ノエル自身じゃなくて、神様がみんなにちょっとだけ幸せな時間をくれるという意味で、Noel gallagher is God

で、みんな本当はどのアルバム好き?