MOVIE: ビルゲイツの頭の中

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Photo credit: Joi on VisualHunt.com / CC BY

最近はテレビ映画館でなくてもコンテンツがつくられていて、今までのは何だったんだろうと思ってしまう。それくらいNetflixが自分たちでコンテンツをつくってしまったことはスゴイ。

Netflixオリジナルでビル・ゲイツのドキュメンタリーシリーズが公開された、といっても10月だけれどね。マイクロソフトの創業と世界一企業にするまでのストーリーかと思いきや、今のビル・ゲイツ、2009年にマイクロソフトの経営から退いてからのビル&メリンダ・ゲイツ財団での活動にも焦点を当てている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は世界における病気や貧困のへの挑戦する慈善団体で、そこでビルが目指すのはポリオの撲滅や、世界中のトイレを清潔なものにすることなどだ。

基本的にもっとも難しいのは問題を作り出ことであって、問題を解くことはその次のレベルになる。誰も手をつけないような問題をテービルにのせて、そこから解決策を探ってゆく。ビジネス上の戦いではないので、局面の突破の仕方を毎回頭をひねって考えなければならない。そもそも世界中のトイレを清潔にするにはどんな研究が役に立つのか、そんな研究を誰がしているのか?そこからのスタートだ。ビル・ゲイツはそういうことにあきらめを感じない人で興味深い。会社なんかだと、なんでこう整っていないのかと文句を言う人がいるけれど、基本的なところが全くちがいますね。

高校生のころに、学校の代わりに全員の希望の履修科目の割り当ての時間割を作成したとか、子供時代から親、とくに母親とうまくいかなかったりと知能の高い子供にありがちなエピソードもあってそちらの方が気持ちを投影して観やすい。知識量と頭の回転がはやいため、人としてはいささか疑問符がつく人なのが面白いというか、ある意味うれしいことでもある。そんなこともあり家族はビルは誰とも結婚できないと思っていたそうで、奥さんのメリンダ自身もマイクロソフトで仕事していて切れものだったそうで、まあ出会いというのは重要だってことですね、的なエピソードもあります。

一通り観てみて思うには、何故かはわからないけれど、世界の問題を解決するよりも、マイクロソフトを世界一の企業に押し上げていく様の方が観ていて楽しい。もちろん、ビル・ゲイツの能力は膨大な知識をため込んでそれを高速で活用でき、有機的に繋ぎ合わせることができるというものすごいものなんだということは分かります。

実際、世界の問題を解決すること以上に世界に新しいものを持ち込むことの方が心を動かされるのかもしれないですね。ビルの能力ですぐれているのは、目的を達成する能力とそのために周りのことを気にしない能力だと思う。

この2つはセットになっていないとうまくいかない。目的を達成する能力だけあると、人にうまく使われてしまう可能性があるし、周りを気にしないだけだけでなんもできないと相手にされない。そういう意味ではスティーブ・ジョブズに似ている。けれど、圧倒的に地味なのと取り組む問題が真面目すぎて、そりゃあスティーブ・ジョブズの方がカッコいいよなと思ってしまう。アナ・ウィンターのドキュメンタリーなんかもわがままぶりと華やかな世界を描くことで無駄にエネルギーが湧く。

ということで、すごいけれどなんか地味というのが究極的な感想でした。

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