MUSIC: なぜ、テイラー・スウィフトは世界最大のポップスターなのか その1

テイラー・スウィフトFacebookをフォローしていて、ポストされた記事を読んでしまったよ。「なぜ、テイラー・スウィフトは世界最大ののポップスターなのか」。自分のこんな記事をFacebookに投稿できるなんてテイラー・スウィフトは天才!!

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Photo credit: PaoloPV via VisualHunt.com / CC BY

まあ。スタッフがやっているんだろうけどさ。どうなんだろう?世界最大のポップスターの考えは遥か遠くにあるのか、それでもそこら辺にいそうなのがテイラー・スウィフトなんだよな。
テイラー・スウィフトセキュリティ面について多くの心配をしている。

これは理解できる懸念事項だ。この春、ロードアイランド州ウォッチヒルのテイラーの家の近くで、早朝に一人の男が逮捕された。警察の伝えるところによると、男は海から上がって歩いているところを発見された。彼は逮捕された警官にテイラー・スウィフトに会うために2マイル泳いできたところだと話した。

テイラーはこの他に2つの家を所有している。1つは控えめな家で彼女は「コテージ」と呼んでいる。この家はビバリーヒルズにある。もうひとつはテイラーの主たる住まいとなっているナッシュビルダウンタウンにあるペントハウスだ。彼女のチームはこの住所を知られないようあらゆる努力を払っている。しかしファンはどこからかこの手の情報を手に入れてくるものだ。

9月も押し迫ったころのある日曜日の朝、12歳の少女とその母親がテイラーの住まいのある建物へと入ってきた。彼女たちは前の晩に行われたブリッジストーン・アリーナでのテイラーのコンサートを観るためにコネチカットからナッシュビルまで飛行機でやってきてきたのだ。

 

テイラーは隠れ家を必要としていた。その日の遅く、わたしが彼女の家に到着したとき(わたしの訪問は予定されていた)、わたしは彼女は具合がわるいようなことを耳にしていた。しかし、実際に会った彼女は健康そのものにみえた。白いゆったりとしたレースのワンピースドレスを着て、親しみをこめたほほ笑みでわたしに挨拶してくれた。場所は彼女の家の広大なオープンプランのキッチンだった。しかしテイラーが話し出すと、彼女の口から出てきたのはしわがれた、Bea Arthurよりも2オクターブは低いハスキーは声だった。

「これはわたしがつくったの。自慢に思うわよ」と彼女は言い、カウンター越しにクッキーの乗った皿を差し出した。「パンプキンチョコレートチップよ。わたしクッキーには咳していないの、だから大丈夫よ」
 

テイラーは今週ずっと調子をくずしていた。

様々な風邪の症状とたたかうため、彼女はマグナム瓶のNyQuil(たぶん、ヴィックスヴェポラップみたいなもの)とベッドで丸くなって寝ていた。彼女はいつものテイラー・スウィフトが持つ華々しさをもちあわせていなかった。2012年10月、4枚目のアルバム「Red」がリリースされ、そのサポートとなる7カ月にもおよぶ北米ツアーを終えてナッシュビルに戻ってきたところだった。昨晩のコンサートは最後で最もタフなものだった。

「悪戦苦闘したのよ」とテイラーは言った。「わたしは話すよりも歌う方がすこしばかり簡単にできるってことにきづいた。奇跡よね」

 

事実、テイラーの風邪によってコンサートではシャッターチャンスがおとずれた。(Kodak moments でシャッターチャンスっていうらしいよ!!初めて知った!!)コンサートの中頃、テイラーは2010年のヒット曲「Sparks Fly」を歌うためにマイクの前に腰かけていた。突然、彼女はひらめく。

「みんな、ごめん。わたし鼻をかまないといけないみたい。すぐに済ませるから、この気まずい沈黙の時間を叫び声でいっぱいにしてくれるかな?」彼女は小走りにステージを駆け下りた、おそらくローディーがクリネックスを持って待っていたことだろう。

 

ほかのスターたちであれば、こんなことをするなどと思いもよらないだろう。決してやぶってはいけない神秘なる掟を犯すようなものだ。女帝ビヨンセや傲慢なレディ・ガガが満員のアリーナに向かって「ちょっと待っててね、鼻をかんでこなきゃ」などと話すと想像できるだろうか?しかし、テイラーにとってはこれも演出になってしまうのだ。14,000人以上の観客(そのほとんどが女性たちだ)は耳をつんざくような人間業とは思えないほどの轟音をうならせた。

20秒後、あの12弦ギターをかき鳴らし「Sparks Fly」を歌いながら、テイラーはステージにもどってきた。

 

 
テイラーの「Red」ツアーは彼女にとってこれまでで最大のものとなる。

どのコンサートもスタジアムポップの超ド級の飾り付けがされている。沢山のジャンボトロン((JumboTron)とはソニーが開発・製作していた大型映像表示装置)とLEDライト、マルチレベルステージ、油圧式装置、紙吹雪の落下、7人編成のバンド、4人のバックコーラスシンガー、15人のダンサー、この数に近い衣装チェンジがあるのだ。

それでも、テイラー・スウィフトのコンサートの真髄は親密感にある。ティッシュ休憩のように、どんちゃん騒ぎがひと段落するとバンドとダンサーは影へと引っ込み、テイラーはアリーナのくぼみで家庭的なキャンプファイアーの光で覆われる。イジメについての歌「Mean」を紹介しながら、テイラーはステージの先に立ちバンジョーを拾い上げる。

「いつも知りたかったし、いつも空想していたの。大きなステージの上に立って大勢の人のために自分の書いた歌を歌うのはどんなものなんだろうって。空想することは小さい頃のわたしにとって一番のことだった。社会での生活という意味ではうまくいっていなかったから。土曜の夜に14,000人もの人たちがわたしと騒ぐのを待っていることなんてありえなかったもの」

これこそテイラーの象徴ともいえる、控えめな自慢だ。控えめさ、時おり彼女が感情を伝えようとするとき、その表現は虚構のようにもみえる。あのテイラー・スウィフトの驚き顔を考えてみて欲しい。「何?わたしが?!」という息をのむ驚きはテイラーが数々のセレモニーでアワードを受賞するたびにみられるおなじみの光景だろう。それでも彼女のそんな驚きの態度を責めることができるだろうか?テイラー・スウィフトの成功の規模というのは驚くべきものなのだから。



この音楽市場が壊滅的な時代にあって、テイラーは遠く離れた場所にいる。

時おり、彼女は伝統的なレコードビジネスの崩壊に対する防波堤となっている一人の女性のようにみえる。セルフタイトルのデビューアルバムをリリースしてから7年の間、テイラーは2,600万枚のアルバムを売り上げてきた。テイラーの曲のダウンロード数は7,500万ダウンロードまでに達した。

アメリカレコード協会によれば、テイラーはデジタルシングルの売り上げ歴史上No.1のアーティストなのだ。2006年以来、テイラーはリードパフォーマーとしてビルボード ホット 100チャートのトップ40に43曲もの曲を送りだしている。これはほかのどのアーティストも成し遂げていない。同時に31曲のカントリーシングルトップ40を送り出し、その内の13曲がNo.1を獲得している。

これらの記録は音楽業界、ミュージシャンたち、その舞台裏を考えれば、ことさらあり得ないことのようにみうけられる。テイラー・スウィフト特異点なのだ。歴史上、先例のないものがテイラー・スウィフトである。彼女のスターダムへの道のりはこれまでの既定路線から外れたものだ。

彼女には、ジャンルも、時代も、人口統計も、時代のパラダイムも、トレンドも関係ない。彼女はペンシルヴェニアのヤンキー(北部人)から、ティーンポップのカントリーシンガーになり、ナッシュビルのスターから、ビルボード トップ 40の世界的な歌姫の仮面をかぶった告白的シンガーソングライターへと変貌していった。テイラーの音楽は手作りの素朴さと、きらびやかなポップ産業を融合させた。まるで Etsy や Amazon のように。これはある意味で前例がないのだ。



テイラーは自身が矛盾した存在である。

テイラーは彼女についてカウンターカルチャーのようなクールさをもたないロック批評家たちの寵児だ。ふしだらさは現代においてポップと同義だが、テイラーは小奇麗で上品だ。それも大衆が認める上品さを持っている。彼女は、やればできる21世紀のガールパワーのモデルなのだ。彼女たちのロマンスのヴィジョンは、おとぎ話の王女、輝く騎士、飛び跳ねるユニコーンであり中世の古風さをポジティブに捉えている。

 

テイラーはあなたがこれまでに聴いた中でも、最も病的なまでに甘いラブソングを書くことができる。加えて、怒りと報復と名指しと、ふしだらな女を攻撃する失恋のバラードを量産することもできる。それらの曲はしばしば同じような曲だ。テイラーの影響はポップミュージックを通して広まり、一つの独自のジャンルを確立している。本当であれば、彼女はメインストリーム外の象徴であり、カルトアーティストであるべきだ。

しかし2013年を駆け抜け、2014年へと突入するコーナーを曲がり始めた今、テイラーは4枚目のアルバムに付随する仕事を終えて、5枚目のアルバムにとりかかる。テイラー・スウィフトがニューアルバムを発売する。そうなると、ビヨンセ、リアーナ、レディ・ガガケイティ・ペリーマイリー・サイラスジャスティン・ビーバー、アッシャー、ジェイ-Z、カニエ・ウエストたちが争うことが出来るのはチャートの2位だけであるのは間違いない。

 

どうして?なぜ?テイラー・スウィフトは世界最大のポップスターなのだろうか?