MUSIC:ノエルギャラガーの歌う「Go let it out」on Spotify がいい

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Oasisが落ち目になったのはまさに4枚目のアルバム「Standing on the Shoulder of Giants 」からなのだと思うのだけれど、ちょうど同じ時期にOasisのライブはスタジアムばかりになって巨大化した。曲のクオリティとは反比例するようにライブは巨大化した。3枚目のアルバム「Be Here Now」からが落ち目という人もいるが、このアルバムの曲まではノエル・ギャラガーが瞬間的に産み出す曲の勢いが残っていた。それはつまるところ、コカインによって作られた曲の名残りであり、コカインソングの終焉が「Standing on the Shoulder of Giants 」だったわけなんだろう。

リードシングルである「Go let it out 」を最初に聴いたときには、正直なところかなり失望した。リアムの声はまだ好調だったし、曲だけがあまり勢いを感じなかった。「Some might say」のようなすべてを吹き飛ばしてくれるようなものをOasisの曲には求めていたのだ。アルバムリリースと同時にボーンヘッドとギグジーというオリジナルメンバー2人が脱退して、結局ノエルとリアムが居ればOasisは成り立ってしまった。もちろんかなり危機的状況ではあったと思うのだけれど。

そんな当時の振り返りを超えて、今はSpotifyでノエルがソロで歌う「Go let it out」を聴くことができる。アビーロードでライブ録音したものだ。イントロのドラムも同じなのだけれど何かグルーヴ感のようなものが凄い。低いところからヴォーカルが始まり、だんだんと上がっていく感じで、ああこれがあの当時ノエル・ギャラガーのやりたかったことなのかとも思う。リアムのヴォーカルでは曲よりもヴォーカルが際立ってしまうからちがう曲に聴こえる。ノエルのヴォーカルはちょっと奥に引っ込んだようなところに位置していて、ドラムとギターのループが前に出ていて、Oasisではなくハイフライングバードのバージョンを聴くことが出来る。やっと、ノエルの作った曲はすごいということを肌で感じた。

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Oasis時代のビートルズカバーもそうだけれど、ノエルが居るとカバーだけれどオリジナルな何かになる。ノエルが居ると居ないとでは、オリジナルになるか、ただのカバーになるか決定的な差が生まれる。それくらい、ノエルは曲の雰囲気をつくることのできる能力が高い。それがノエルの強いところなんだよなぁとつくづく思う。だから彼の曲はパクリで出来上がっているものの、結局はノエル・ギャラガ―ソングとなり、つまりはそれがオリジナルな曲として生まれてしまう。

パクリ方にも流儀があるってことですかね。