FASHION: マーク・ジェイコブス インタビュー on GQ Magazine

マーク・ジェイコブスコム・デ・ギャルソンを着るみたい。それは今もか分からないけれど。いつからか、キルト・スカートとサンダルというファッションのマーク・ジェイコブスを見かけるようになった。いつの間にこんなファッションになったんだ、マーク?確かにあんたが着るとイカしてるよ。

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Photo credit: G.6sou via VisualHunt.com / CC BY-ND

その理由がこのインタビューで明らかになってます。真為のほどは確証出来ません。GQマガジンのインタビューです。一番のお勧めは最後の質問の答えです。男性向けの香水を発売したことに対してのインタビューなので、それを前提にすると、何を話しているのか少しは分かります。

フレグランスのボトルは本当に可愛いですよね。どうやって思いついたんですか?

コンテンポラリー・アートに「興味」を持っている人たちの世界ってのは小さい世界なんだ。そしてコンテンポラリーアートを「観る」人たちの世界はいくらか大きいんだ。でも、実際に見ているものがアートにどれだけ影響を受けているのか気づいていない人たちの世界はもっと大きいってことだよ。僕はアートが世界の形を変えてしまうと信じている。単にほとんどの人たちが、アートの影響力に気付いていないだけだ。

例えば、自分が尊敬する人がデザインした家具を見るとする。それは自分の中に蓄えられていって、今の自分がやっていることに影響するんだよ。僕は今、Paul Evansとか70年代の家具デザイナーたちの金属家具を見てる。L&M ギャラリーでの John Chamberlain の展示を見に行ったよ。いつも彼の作品を愛していたからね、僕の心のコンピュータの中には、いつも彼の作品が記憶されて蓄えられているんだと思うよ。

あなたはキャンペーンでしばしば裸になりますよね。自意識が強いと感じたことはあります?

自意識は強いと思うよ。でも、他のことに比べて自分の体に特にってわけじゃないと思う。ただの人間だし、いくつもの理由があってそうしていたんだよ。まず僕は、馴染みのニューヨークにある The Mercer Hotel の部屋にいた。コントロールされた環境だ。何年もその部屋で寝てたし、肉体的に変身した。とても健康的(煙草を吸うのは例外にしてね)になった。

この2年間というもの、僕は1日に2時間はジムでワークアウトをしたし、服を脱ぐこってことは自分を不安にさせるものじゃないって感じたんだ。それまでは、Juergen [Teller] や Bazaar、Louis Vuitton、Stephen Sprouse の為に服を着ていたんだよ。あらゆる出版物の中で裸みたいなもんだったんだって思うけど。

裸でいることを楽しんでいるように見えますが。。。

そりゃ楽しいよ。だって今は撮影に行く時には服を着て行くんだよ。それが必然的に脱がされるんだから。ちょうど最近それをやった。スタイリストはこうだ「ねえ」と言い、あるポイントに行こうとする「服を脱いでもらえる?」って言うポイントだよ。たぶん、単に写真を良くするためじゃない、だろ?キャンペーンに関しては、ビジネスパートナーのロバートのアイデアだからね。本当は、う~ん、僕は服を脱ぐのは問題ない。前よりも自分の姿に自信を持てているしね。

ええ、身体を鍛えたら、それを見せた方が良い・・・

いいんじゃない。反抗的なものじゃないし、誰かに衝撃を与えるためにやってるわけじゃない。僕はモデルじゃないから、スーツとか服を着てみせるっていう考え方の方がおかしいんだよ。少し前のインタビューでやったよ。ケイティ・グランドが僕のスタイルリストをして、彼女は僕に違った服、服装一式、女性服、男性服を着せた。ドレスアップするのは本当に楽しかった。髪はオレンジ色に染められて、ウォホールのウィッグとかおかしなもんを付けたよ。でも僕をモデルにするのに使って、効果的だったんだ。これらの写真がなければ、彼らは僕の個性に興味があるんだから、服に焦点が集まるようになるよ。質素なものだったり、僕が裸でもない限りは、ある意味ではファッションについてくどい位に言い表してしまうよ。

何が "Bang Marc Jacobs" の元になっているのか、広告のグラフィックスを変えたのは良い事だよ。僕が思うには何かがちょっとは違うとは思うけどね。。。


あなたのブランドはあなたの名前であり、あなた自身であり、人々はそれを買っています。それと、ルイ・ヴィトンのように舞台裏の役割とどちらが好みですか?

僕は自分の好きな仕事をしていて本当に嬉しいだけだよ。どちらでも、僕はコラボレーターだ。" Marc Jacobs" はロバート・ダフィと僕、そして僕らと働いている人たちみんなの会社だ。Marc Jacobs はクリエイティブな人たちで溢れている。ルイ・ヴィトンはまた別の名前のドアってとこだね。長い間その名前は抱えあげられてきたんだ。でも僕はそこではコラボレーターだ、他の人やアーティストを連れて来て素晴らしいクリエイティブなデザインチームと仕事をする。いつも自分はその一部なんだって感じるよ、そのヘッドとしてじゃなくてね。そっちの方がいいだろ?

キャンペーン・イメージではタトゥーが頻繁に出てきますよね。理由を教えてくれませんか?

僕は沢山のタトゥーがあるからね。最初のタトゥーは10代のときだ、小さいハートだった。僕は偉大なアーティストである Scott Campbell と親しいから、タトゥーを入れてもらうのに彼のとこに通い始めたんだよ。自分が手に入れるものには、自発的なんだよ。それぞれのタトゥーには裏話があるけどね、全部自発的な想いからなんだよ。タトゥーはずっと残るものだからね、でも僕はそれに重要性を与えようとは思わないよ。

それぞれ、その当時に僕がしたいと思ったタトゥーなんだよ。何かあるとすれば僕の日記のようなもんだよ。それぞれのタトゥーに理由があって、その瞬間にいたってことを示している。

スポンジ・ボブのタトゥーに隠れた裏話を教えてくれます?

うん、僕は Richard Prince とルイ・ヴィトンのコラボレーションで仕事をしてた。Richard はスポンジ・ボブの一連のイラストの仕事を終えたとこだったんだよ。彼は漫画とした場合に、スポンジ・ボブのアーティスティックな価値に気付いたことを話してくれた。僕もそれを気に入った、だからタトゥーを入れた。そして今や、Nickelodeon とかスポンジ・ボブのクリエーターからスポンジ・ボブに関するあらゆるものを送られるってわけさ。面白いだろ。

あなたは身だしなみを整えることと、フィットネスに夢中ですよね。毛髪移植を受けることも認めました。どうやったんですか?

その通り、全部に夢中だ。僕は自分がどう見えるかってことに夢中なんだから、それを隠すことに意味あるかな、そうだろ?僕は自意識が強いからね、どう見えるのが好きなのか、髪がある方が好きなのか、それを知っているんだ。僕の髪は薄くなってきていたし、何年もの間そうだった。何人かの友達は毛髪移植をしていたし、2、3年前にそう考えてびびって移植したってこと。ショーの後にはっきりした。ライトが僕の頭の後ろを照らした時に思った「Oh my God!」ってね。だってとても薄くなってたし、より薄く見えるにしても黒く染めてたんだからね。それで思った「よし、全部やってしまおう、そうすれば友達もハッピーになる。やってしまおう」でも何てこった、凄く痛かった。

帯板法を使ったんですね?

そう、とても痛かった。移植している時にも新しい髪はたくさんあるんだ、でもある意味ではそこにはない・・・
一回やって、ドクターは言ったよ。君の願う結果を得るにはもう一度ここに来なきゃならないね、ってね。正直に言って、後悔はないけどまだ結果を見てないんだ。育つのに何か月もかかるらしい。でもあの体験は僕の頭の中であまりにも新鮮だからね、もう一回痛い思いをするのはちょっと望んではいないね。

新しい香水について、かなりセクシーな香りですしキャンペーンも確かにセクシーです。セックスと香りというのはあなたにとっては分離不能な概念ですか?

ああ、セックスはいつだって最高のもんだよ。だろ?まあ実際はいつも最高とは言えないけれど、いつだって良いもんだよ。匂いって官能的だと思うんだ。ムードとか精神を呼び起こすものが鍵だと思うんだ。女性の香水には、違ったタイプの女性のムードとか感性を呼び起こされると思うよ。Daisy は甘くて無垢な香りだったり、Lola はもうちょっと刺激的なセクシーで官能的なものだとかに関わらずね。面白いよ、色とか香りからどうやって違ったムードをつくりだしていくかってのはね。Bang の成分の選択については、僕にとっては特に「ペッパー」がホットでセクシーでインパクトが強いものだった。だから、全部はそこから来たものだよー名前、香り、イメージとかそういうもの全部がね。

男性向け香水を立ち上げるのに時間がかかりましたね?


待っていた訳じゃない、本当に忙しかったんだ。ファッションだけじゃなくて、フレグランスの世界でも忙しかったんだ。みんなシーズンごとに来てはこう言う「新しい女性向け香水が必要なんです」だから、僕らは大きな成功だったフレグランスの世界に取り組み始めた。そしてついに、僕らにこう言うようになった「新しい男性向け香水が必要なんです」だから「いいとも、素晴らしいだろうね」って言ったよ。

子供のころの、匂いの記憶とか思いではありますか?

うん、父と母そしておばあちゃんの匂いはいつも覚えているよ。

ちょっと変だけど好きな匂いというのはありますか?個人的には昔の口紅の匂いが好きですけれど・・・

ああ、あるよ。機械的な匂いだな、何かを差し込むような?Atomizers!だ!(ドイツ語でスプレーの意味)ホテルの喫煙フロアの廊下に時々蒔かれるやつ。木が焼ける匂いと香辛料の匂いも好きだ。

今、どんな本を読んでますか?

Christopher Isherwood のベルリンの小説。面白いよ。本を読む時期もあれば、読まない時期もある。今は読まない時期かな、だからゆっくり読んでる。でも読むときは楽しんでいる。

あなたは音楽が大好きですよね。最近何かダウンロードしましたか?


う~ん、実はどうやって音楽をダウンロードするのか知らないんだ!そういうことに関しては全く使いものにならない奴さ。Google の使い方とか Eメールを送ることは出来るけど、文字通りそれだけだ。
でも、Lady Gaga を聴いているよ。パリで彼女のショーをみた。彼女は友達だし、音楽も好きだ。

彼女に衣装を提供します?

いや。でも前から僕らの服を着ているし、友達だからね。本当に彼女が好きだし、彼女の音楽も、Nicola Formichetti と "Haus" も好きだよ。
(注)Nicola Formichetti は Lady Gaga のスタイリストで、"Haus" はLady Gagaの衣装のクリエイティブチームのこと

どうしていつもキルトを履いているんですか?

話せば長いよ。2年くらい前だな。僕はここのスタジオにいてショッピングに行く時間もなかったし、もっと多くの時間をこのスタジオで過ごさなければならないことも分かってた。ショーの準備をしていたからね。僕はアシスタントの Casey に言った「バーニーズに行って良い気分にさせてくれるズボンを買ってきてくれないかな?」彼は、コム・デ・ギャルソンのキルトを持って帰ってきた。

僕はそれを試してみてね、気に入った。もちろん会社のサンプルルームの中じゃ色々なリアクションがあったけどね。唐突に、サンダルとスカートを履いてそこらを歩いた。みんなそれを面白がってね、とてもいい気分になったよ。実際とても心地良かった。

より "airy" という感じですか?
(注)airy:軽快な、優美な、風通しのよい

これが一連のキルト中毒の始まりだよ。僕はいつも言うけれど、何か自分に心地良いことがあれば、それをやるんだ。実際にやっただろ。ジムでのエクササイズも、きちんと食べることも、キルトを履くこともやった。心地良ければ、それをやる。

もし時間を戻して、別のデザイナーになれるとしたら、誰なりたいですか?


別に時間を戻して他の誰かになりたくはないよ。ただファッションにおける僕のヒーローは偉大なデザイナー「イブ・サン・ローラン」だ。

最悪の1日の後、あなたがハッピーになれる場所は?

ベッドの中。長い1日であれば寝ころがって天井を眺めていたいよ。実際に自分の家のベッドじゃなくても良い。ただ背中を横に出来て、天井を眺めていられれば良い。とても長くて疲れた日にそれでハッピーになれるって分かったんだ。たとえそれ程疲れていない日でもハッピーになれるよ。一種の催眠みたいなもんだ。自分を解放できるんだ。

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彼の仕事っぷりを追ったドキュメンタリー映画があるけれど、かなり壮絶に仕事をしてます。でも、すり減っていかないんですよね。もちろんドラッグやアルコールに溺れたこともあるんだけれど、それも乗り越えてきた。何でそこまで仕事出来るのか不思議だったけど、気持ちの切り替えが簡単な方法で出来たり、自分が好きなことをやってどんどんと前に進むからだと思ってしまいます。彼の中ではモラルとかそういうものよりも「自分の気持ち」という大切な価値観があって、それを優先させています。まあ、そういう価値観がなければ出来ない仕事だけど。少し、マーク・ジェイコブスの凄さの片鱗を感じた気がします。

彼のアシスタントなら、面白い仕事かもね。と言ってもセンスが必要だろうけど、少なくとも完璧じゃなくても良い。アナ・ウインターのアシスタントだったとしたら、ズボンと言われてキルト・スカートを買って来る勇気はないな~。あのイーグル・アイで射抜かれる!!

でも香水はつけないかな~。