アンジェリーナ・ジョリーは何かに向かい合うと、自分にとって最善と思われる決断を下してきた。もちろん、それが社会の常識に沿うものかよりも、自分自身の気持ちに沿うものかで判断を下してきた。だから、褒められることもあれば、褒められたもんじゃないことだってしてきた。でも、自分に正直に生きることが、その容姿以上に彼女の魅力なのだと思う。
これはNYTに掲載された、アンジェリーナ・ジョリーの手術の際の手記です。かっこいい。アンジェリーナ・ジョリーって顔がナチュラルなところが魅力なんじゃないかと思う。それにどんなことにもめげずに立ち向かっていく。
人は時に人生に立ち向かわなければならない。
そういうときに力を湧き起こさせてくれるのは、 同じ状況を生き抜いた先人がいる、ということなんだと思います。
Photo credit: Gage Skidmore via Visualhunt.com / CC BY-SA
＝＝＝＝＝＝＝
人は時に人生に立ち向かわなければならない。
そういうときに力を湧き起こさせてくれるのは、 同じ状況を生き抜いた先人がいる、ということなんだと思います。
Photo credit: Gage Skidmore via Visualhunt.com / CC BY-SA
＝＝＝＝＝＝＝
わたしの母はがんと10年近く闘い、56歳で他界した。初孫たちの顔をおがみ、その手で抱きしめることができたのだから十分にもちこたえたと言って良いだろう。しかし母にとっての初孫以外のわたしの子供たちは、母のことを知る機会さえないだろうし、母がどれだけ愛情深くそして慈悲深い人であったかを体験することもないだろう。
わたしは子供たちとしばしばこう話す「ママのママはね」と。そこで、母を奪い去った病のことについて子供たちに説明しようとする自分を発見することになる。
子供たちは「もし同じことがママに起こったら」と問いかける。
わたしはいつも彼らに「心配はいらない」という。しかし真実をいえば、わたしは「欠陥のある」遺伝子を持っている、BRCA1だ。BRCA1に遺伝子変異があると乳がんと卵巣がんになるリスクを急激に増加させる。
子供たちは「もし同じことがママに起こったら」と問いかける。
わたしはいつも彼らに「心配はいらない」という。しかし真実をいえば、わたしは「欠陥のある」遺伝子を持っている、BRCA1だ。BRCA1に遺伝子変異があると乳がんと卵巣がんになるリスクを急激に増加させる。
これがわたしの現実なのだと知ったとき、事前に行動を起こしリスクを可能な限り最小にするよう心に決めた。わたしはダブル・マステクトミー（両乳房の全摘手術）を決めたのだ。乳房からはじめたのは、乳がんのリスクの方が卵巣がんよりも高いこと、手術がより複雑だという理由からだ。
4月27日、3か月におよぶ乳房切除に関する医療処置を終えた。その間、このことは私的な範囲にとどめ仕事をつづけてきた。
しかし、わたしは今この文章を書いている。自分の経験が他の女性のお役に立てることを願って。がんという言葉は今でも人々の心に恐れをつき刺し、深い無力感を生み出す言葉だ。それでも、今日では血液検査によって乳がんと卵巣がんになる確率が高いかどうかを検査することができる。であれば、行動をおこそう。
わたし自身の一連の処置は2月2日、乳首の裏にある乳管の部分から病気となるものを排除して、その組織へ余分な血液の流れを引きとめる「ニップル ディレイ」（乳首温存）として知られる処置からはじまった。この処置はいくらかの痛みをともなうし、たくさんの傷をつけることになるが、乳首を温存してくれるチャンスを増やすことになる。
2週間後、わたしは重要な手術をうけた。乳房の細胞組織は取り除かれ、乳房があった場所には一時的なつめものが補てんされた。手術は8時間もかかる。胸の中にドレインチューブと膨張機が入った状態で目を覚ますことになる。まるでサイエンスフィクション映画のようだ。しかし手術の数日後には日常の生活へともどることができる。
9週間後、インプラントによって乳房を元通りにする手術で完了となる。この数年で乳房の復元の処置は多くの進歩をとげてきていて、美しい結果をのこすことができる。
わたしはこの文章でマステクトミー（乳房切除）の処置をおこなう決断が容易ではないことを伝えたい。でもわたしは手術をしたことで幸せなのだ。わたしが乳がんになる確率は87%から5%以下となったのだから。子供たちには「ママが乳がんでいなくなってしまう心配をする必要はないからね」と言ってあげられる。
子供たちを不快にするようなものは何も見当たらないということが安心を与えてくれる。彼らが目にするのはわたしの小さな傷跡、それだけだ。ほかのすべての物事はママだけのことだ、わたしの母がいつもそうしてきたようにわたしも同じようにする。子供たちは、わたしが彼らを愛していて、彼らと一緒にいるためには、わたしは出来るかぎりのことをすると知っている。個人的なことを言えば、わたしは女性らしさを失ったとは微塵も感じない。自分の女性らしさを目減りさせる要素などまったくない強い決断をした自分を誇らしく感じる。
わたしはブラット・ピットというパートナーが居て幸運だ。彼は愛情深く、そしてとても献身的だ。わたしと同じような経験をすることになる妻やガールフレンドがいる人には知っておいてもらいたい。あなたはとても重要な役割を果たすのだ。わたしは Pink Lotus Breast Center で処置を受けたが、ブラットはどの手術を受けている間もいつもセンターに居てくれた。わたしたちは一緒に笑い合う瞬間をみつけだすことができた。わたしたちはこれが自分たちの家族にとって正しいことだと分かっていたし、二人の距離をより近づけてくれた。今でもそうだ。
この文章を読んでいるすべての女性へ、あなたには選択権があることを知ってもらえたらと願う。わたしはすべての女性を応援したい。とくに乳がんや卵巣がんになった家族がいる場合には、この種の病からあなたの人生の助けとなる情報と医療の専門家を探してみてほしい。あなたが情報にもとづき自分で決断をするために。
わたしは手術に替わる治療方法に励んでいるホリスティックドクターがいらっしゃるのも知っている。わたしの処置の方法については、やがて Pink Lotus Breast Center のWebサイトに掲載されることになるだろう。女性たちのお役に立てればと願う。
WHO（世界保健機構）によると乳がんだけで、低・中所得層の国々を中心に毎年458,000人近い人々が命を落としている。どんな収入だろうと、背景的事情があろうと、どこで暮らしていようとも、遺伝子検査と命を救う予防措置を受ける保証、このことを重要視させていくべきだ。BRCA1とBRCA2の検査費用はアメリカにおいて3,000ドル以上かかり、多くの女性たちにとって壁が高いものとなっている。
わたしは自身の体験を私的なものにとどめておかないことを選択した。なぜならば、がんの影に隠れながら生活をしているであろう女性が大勢いるからだ。これはわたしの想いだが、遺伝子検査を受けて欲しい。もしがんになるリスクが高いなら前向きな選択があることを知ってほしい。
人生にはたくさんの試練がつきものだ。脅かされるべきでない試練は受け入れてコントロールできる。
アンジェリーナ・ジョリー：女優、映画監督
