スマホもFacebookもTwitterもなかったころ、Oasisが最強だったころ

スマホFacebookTwitterもましてやYoutubeもGooleすらなかった時代、なぜかみんなOasisを知っていたし、彼らは最強であり最高だった。すべてが記録される時代になって、今や小奇麗な映像が出回り、人は機械に支配されてしまった。仕事のみならず生活までも機械に支配されているでしょ、今って。

そんな古きよきアホなOasisのメインロードでのギグの「あの有名な写真」に写っている人がイギリスのGurdianに記事を書いていました。

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音楽にのめり込むには最高の時期だった。ギターバンドたちは60年代のように戻りはじめ、わたしたちのようなワーキングクラスへと語りかけはじめていた。公営住宅で育った連中のために。

Oasisはまったくもって新しかった。巧妙に造られた音楽やそこらのボーイズバンドと比べてもそれは明らかだった。加えて彼らは大言壮語を吐いた。わたしはそれも好きだった。

わたしは「Definitely Maybe」をテープに録音して友達に配った、そしてバスルームでフルヴォリュームにして聴いたものだった。「なんだこれ、ほんと最高だ」と思ったものだった。

マンチェスター、メインロードでのギグはOasisにとってはこれ以上ないものだった。故郷への凱旋だったし、愛するマンチェスターシティのホームグラウンドだったのだ。リンカーン(そこでわたしは育った)にあるチケットセンターは二台のダブルデッカーが配備された。わたしは親友と兄とその友達と一緒にメインロードに向かった。Oasisのライブを観るのは初めてだった。オーディエンスはわたしと同じような歳で、15かそこらの連中ばかりだった。

わたしたちはラッズグループの隣に立っていた。わたしは彼らに「ねえ、肩車をしてよ?」と頼んだ。一人が疲れると、それはすぐだった、他の人がわたしを肩車した。1966年のワールドカップの映像(イングランドが優勝した大会)が流され、雨にもかかわらず、Oasisが登場するまでに、すでにわたしたちは興奮していた。

ギグは素晴らしいとしか言いようがなかった。わたしはなにもかもを観ることができた。彼らはヒット曲をすべて披露した。ノエルはオーディエンスと冗談を言い合い、シングアロングさせた。返りのバスですら、みんな歌い続けたいた。

メインロードはおそらくOasisが真にブレイクする前の最後のギグだった。同じ年の8月、わたしはネブワースでOasisを観た。すでに彼らは自身の成功の大きさの被害者になりつつあった。ネブワースはメインロードより、とてつもなく大きく、まさにプロフェッショナルな運営がされた。チケットのホットラインがあり、大勢の観客が集められ、わたしたちは本当に後ろからしOasisを観ることができなかった。

その何年か後、わたしはウェンブリースタジアムOasisを観た。それが彼らを観た最後だった。彼らの心はそこにあらず、ノエルとリアムの結びつきは薄れつつあり、リアムはひどく酔っ払っていた。

わたしがメインロードの写真を観たのは20年も前のことだった。友達がOasisのギグのプログラムを学校に持ってきた、そこで「あの写真」があった。「なんてこと、これわたしよ」とわたしは思った。わたしはその日ちょっとした有名人になった。先月、リアム・ギャラガーをテレビで観るまでわたしはそのことを忘れていた。90年代のノスタルジーにひたったわたしは、Googleでメインロードの写真をさがすと、すぐにそれは見つかった。Jill Furmanovskyという女性のロック・フォトグラファーが撮った写真で、彼女が撮ったOasisの写真はChristie’sでオークションにかけられたりもした。

わたしは「あの写真」で好きなところは、みんながあの瞬間、あの場所にいる、というところだ。どこにもスマートフォンはないし、FacebookTwitterもない。オーディエンスの誰ひとりとしてギグを記録しようなど思っていない。カメラでギグを記録しようなど考えようもない。そんなことをしたら、カメラを落としてしまうことの方が心配だった。

この前、Jake Buggのギグに行ったが、誰も彼を見てなどいなかった。オーディエンスはスマートフォンにすべてを記録しようとすることに真剣だった。彼らはそのビデオをもう一度観るのだろうか?

ともかく、Furmanovskyがメインロードギグにカメラを持って居てくれてよかった。わたしは今や二人の子供がいる。彼らに、お母さんの若いときの証拠を見せられるのは素敵なことだ。そしてこう言うだろう、「お母さんはそこに居たのよ」と。

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まったくもって、ネブワースにOasisの真髄は記録されていない。やっぱりメインロードあたりまでなんだよな、訳わかんないけど興奮してしまうのは。みんな大人になるってことだと思う。