アナ・ウインター 小話 その9 アナ・ウインター、いつも同じ靴

人は物事の性質を分析し、そこに何がしかの一貫性や同質の要素を見出し、物事に秘密を見出そうとし物理や化学、はたまた歴史学社会学まで様々な学問を生み出してきました。そのおかげで教科書は膨れ上がるばかりな世の中ですが、そんな勉強なんか知らんという人、それこそ正しい。

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Photo credit: Dilia Oviedo's Fashion Week via Visualhunt / CC BY-ND

小難しい言葉や論理を使わなくてもアナ・ウインターについて言えることが一つあります。まずは「The September Issue」を観て以来、インターネット空間に散りばめられた Anna Wintour の写真をちょこちょこと集めた結果をみてみましょう。

そう、いっつも同じ靴を履いてるじゃん。何でずっと気付かなかったんだろう!!直接本人に尋ねたり、近しい人に事情を聞いてみたいものだけど、Google 先生に尋ねてみることで我慢することにしました。本当は何でも Google 先生に頼っては良くない!!良い子はそういうことしないようにしよう。自分で体験することこそが最も重要なのです。

ということで、アナ・ウインターの履いている靴はマノロ・ブラニクです、みんな知っていたんだってさ。マノロがインタビューに答えてた。

Same Shoes, Ten Years: What's Up With Anna Wintour's Manolo Blahniks? という記事です。ALEXANDRA ILYASHOV という人が書いているんだけど、この人結構面白いですよ。
 
靴の神様、Manolo Blahnik はこう味付けを。。。
 
ツー・インターセクション(2本のストラップが足の甲のところで交差するデザインのこと)ハイヒールをアナ・ウインターがこんなにも愛好するのに何か秘密はあるんですか?
Manolo:もともと、その靴は偉大なるオペラ歌手マリア・カラスMaria Callas)にインスピレーションを貰ったものだ。アナはアンクルラップを取り除いて、スリングバック を付け加えられるか、言ってきた。彼女は足を傷つけてしまうものは好きではないんだ。それで、この靴、Callasli が出来たんだよ。

いつデザインしたのですか?もともとの値段を思い出せますか?
Manolo:もともとは400ドル以上だったと思うよ。でも10年以上前のことだからね。1994年にデザインしたんだ。

アナが何故このスタイルに惹かれるのだと思います?
Manolo:アナは彼女自身を良く知っていて、自分に何が一番似合うのかについてとても良く分かっているんだよ。

毎シーズン、アナはどれ位の数の靴をオーダーするんですか?
Manolo:オーダーの数についてはコメント出来ない。これは誰についてもだ。でもアナは彼女のワードローブのように、靴についても、常に非の打ち所なくすることが好きなんだよ。

アナのお気に入りの色は?
Manolo:肌色(スキントーン)。アナに似合う肌色(スキントーン)を2種類も創りだしたんだよ。

アナの靴型はどれくらい所有していますか?(last って名詞で靴型っていう意味があるのを初めて知った)
Manolo:いくつかアナの為に特別にデザインしてきてるよ。

アナの為に特別にデザインしたものはありますか?
Manolo:アナとは特定のシーズン毎に、何が彼女にインスピレーションを与えているのか良く話すし、ワードロープにどんなものをオーダーしたのかについても話す。アナは素晴らしい足の持ち主だからね。それに、彼女の足はいつだって細心にケアされている。アナといつも話すのは、素材だとか、ヒールの高さの調節だとか、ストラップを広げるのか、そのままにするのか、そういうことだね。結局のところ、最後はいつもアナが決めるんだけどね。

<どうでも良い情報>
アナ・ウインターは自分の足を筋肉質にして、太くならないように10代の頃から体育の授業をさぼっていた。

ストラップをよりワイドにした靴もアナのお好み?
Manolo:Botti ってやつだよ。1999年にデザインしたんだ。

アナが履いているからという理由で、この靴をリクエストされたことはありますか?
Manolo:単純にアナが履いているというだけの理由で、良く注文を受けるよ。

他にこのスタイルの靴を履いている女性の名前を挙げてもらうことは出来ますか?
Manolo:誰が自分たちの靴を履いているのかについてはコメントはしない。でも確かなところは、沢山の人たちがアナにインスパイアされているよ。

この靴にニックネームはありますか?
Manolo:女性たちの多くは「AW」と呼ぶのが好きみたい。

次の10年、もしアナが別のデザイナーによる新しいスタイルの靴を履き続けるようなことになったら、裏切られたように感じますか?
Manolo:アナのロイヤリティには信じられない位に感謝しているよ。もし彼女が別の方向性を選ぶなら、それを尊重したいね。「裏切られる」という言葉は大げさだよね。まあ、絶対に心を痛めることにはなるだろうけれど。

クリスチャン・ルブタンやタマラ・メロン(ジミー チュウ(JIMMY CHOO)の創設者、ブランドが売却されたので今はブランドから退いています)はどう感じていると思いますか?
Manolo:それは彼らに尋ねないとね。

臨床心理および行動心理学者で New York の Great Neck にある Bio-Behavioral Institute のダイレクター Fugen Neziroglu はこう話す。。。(ちなみにこの方は女性です)

何故アナ・ウインターは長年に渡りこの靴を履いているのだと思いますか?
Fugen:特定の靴を履くスタイルが、彼女にとっては恒常性を意味するものになっているのかもしれません。彼女が慣れ親しんだものになっているのです。彼女は変化をそれ程好まないのかもしれません。彼女の日常では溢れる程にやるべきことがありますから、彼女は自身をコンフォート・ゾーン(心地良い場所)に置いておけるものが必要だったり、欲しているのでしょう。

アナの一貫した靴選びは、彼女の心理についてどのようなことを示しているのでしょうか?
Fugen:何がしかの問題めいたものはないように見えます、アナは非常に成功を収めている女性ですから。もし彼女に強迫性障害があるならば、今の彼女ほどの高い能力を示すこともないでしょう。もしかしたら、同じスタイルの靴を履くことで「カモフラージュ」しているのかもしれませんが。

カモフラージュなんて、五年前も同じなんですよ!何をおっしゃっているんですか?
Fugen:人は時々、特定のスタイルというものを用いるのです。何故なら、それが自分をより良く見せると感じるからです。身体の特定の部位に対する強迫観念や懸念から生じるのです。特定のスタイルや着るものが、その人が欠点だと認識しているものを実際に「カモフラージュ」しているかもしれないと感じるんです。例えば、ある女性がいて、彼女は常にお尻を隠す為に大きなジャケットを着ているとしましょう。その女性の場合には、お尻というパーツのサイズが、身体のサイズに対して、どこか違うと認識していて、それが彼女に自意識が強いと感じさせるんです。アナの話とは全然違いますけれどね!

New York City の足医学博士号を持つドクター Jaleh Hoorfar はこう警告します。。。

この靴はアナにとって、常に履き続けているという点で良い靴なのでしょうか?
Hoorfar:この靴は全くもって支えがありません。非常にもろく見えます。正面のストラップは、彼女のつま先を交差して、ぎこちなく配置されています。この靴では、誰のつま先だってこのように靴からはみ出てしまいます。アナだけ例外などということはありませんよ!それに、足首の周りにストラップがまったくありませんよね。これではかかとを包んでくれるものが何もありません。靴と足というものは、歩く際には一体となって動くものなのです。

このスタイルの好ましい所は何ですか?
Hoorfar:比較的、ヒールが高くないという点が救いですね。恐ろしく高くはありませんので、靴が彼女のバランスを乱すようなことはありません。少なくともスリックバックはあります。スリックバックは心理的な意味でもその靴を履いている人に安心感を与えます。しかし、スリックバックは、かかとから滑りぬけてしまうことがあります。

この靴を改良するとすれば、ブラニク氏にどのようなことをお勧めしますか?
Hoorfar:ラニク氏がアナの靴型を所有しているとすれば、彼女の足の第5趾を覆うようにストラップを移動させるべきでしょう。ストラップを1センチでも移動させさえすれば、つま先が靴の中に収まったままになるように、彼女のウエイトが移動するでしょう。

やっかいなスリッグバッグはどうしましょう?
Hoorfar:理想的には、アナは靴の後ろ側が閉じたものを履くようにするべきでしょう。彼女の体重が靴の「中」に収まることによって、かかとが安定することになります。支えが足りないということは、アナの足がおそらく疲労しているということになります。夜に足の腱がけいれんするかもしれません。

だってさ。。。受けるな。。。
 
学者とか医者って本当は自分たちで問題とか病気とかつくってるんじゃないの?マノロ以外の、このコテコテのインタビューは、やらせだろ~。マジだったら、どうしよう。。。どうか、病気だったり問題を抱えてしまっている方々の為に力を分けて下さい。もちろん、日々、色々な人の力となっていることでしょう。

この記者さん、目の付けどころが結構面白いな、相当に暇な人なんだろう(笑)
 
Vogue はファッションを宣伝してはいるんだけど、それ以上にファッションを祝福しているんだって。つまりこう。

「あなたは靴が大好き。わたしも靴が大好き。それで良いじゃない!!」

アナはこのマノロがお気に入りなんだから、それで良いじゃない!!(日本には店舗はないけど、バーニーズはマノロを取り扱っているみたいよ)