年末年末になにをしていたかと言えば、マンチェスターシティの1年を追ったドキュメンタリー「All or Nothing Manchester City」を観ていた。
Photo credit: Thomas Rodenbücher on Visualhunt / CC BY
バルセロナを世界一のチームにして、バイエルンでも素晴らしいサッカーを築きあげた、かの「ペップ」・グラルディオラがマンチェスターシティの監督に就任した2年目のシーズンを追っている。
カメラはロッカールームまで入ることを許されており、ペップと選手、スタッフたちの1年を内側から覗き見ることが出来る。いつのまにかこちらまでシティを応援してしまう。
サッカーのことだけを言えば、ダビド・シルバとレロイ・サネ辺りが絶妙なポジショニングから対戦相手を崩して点を取りまくる。セルヒオ・アグエロは圧巻で別格とも言える得点能力を見せつけてくれる。彼は何しろ重要な試合になればばるほど輝くのだ。それは誰もが持てる資質ではない(とはいえ、メッシにははるかに及ばない。そこがバルセロナとシティの違いであり、ペップがチャンピオンズリーグ優勝を獲得できない理由だろう)。
色々挙げすぎると、焦点がボケてしまうのだが、そろそろペップへ焦点を当てる。ペップはふがいない試合をした後に選手を怒らない。
チームキャプテンのコンパニやヤヤ・トゥーレは不甲斐ない試合をした後のチームに向けて、走らないことや、ギリギリのところで手を抜いてしまったことを戒めようとする。ところが、ペップはそこで「団結しろ」と言い放つ。お互いを責め合って、より追い詰められて、重圧だけ増すようなアホなことはしない。気合いは大切だが、勝つ確率が上がらないのでは意味がないのだ。高校生の部活でもないので、気持ちだとかそんな低レベルなことはペップは言わない。
そもそもペップのサッカーは走るが無駄に走ることはしない。人が走ることのできる限界を超えなければ成立しないようなサッカーはしない。ポジションを保ち、各局面で相手より数的優位を保つためのオーガナイズをして崩してゆく。無理であればすべて組み立て直す。いかに確実に得点を取り勝利へ結びつけるかを考える。
なので、大切なのは各選手同士の認識合わせだったりチームとして動くことなのだ。
何事も少しずつしか進化しないけれど、昔の日本のサッカーと比べると、もうこれは全く別の競技なのだ。日本人はオリンピックも好きだし、ド根性マンガも好きだけれど、勝つことの方が楽しいと思う。辿りつきようのない努力は何も生まないし、今では感動すら生み出さない。
勝つためのメンタリティーですら、気合いとか根性ではなくて、もっと別のものが必要なのだ。分かっていたことだけれど。
それにしてもペップはスタイリッシュで絵になるよね。そして選手たちも真面目で素晴らしい。ノエル・ギャラガーがちらっと登場するのだけれど、Oasis的なキャラクターはこのドキュメンタリーの中でも浮いている。なんかノエルだけマンガから出てきたみたいだ。
Photo credit: padshewscky on Visual hunt / CC BY-ND
なんだかんだ言ってオレたちはクソなんだよっていう、そういうことが言えてしまうOasisみたいなチームが出てきたら愛されるだろう。今年はシティにプレミアリーグ優勝して欲しい。ノエルのために。
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なんだかんだ言ってオレたちはクソなんだよっていう、そういうことが言えてしまうOasisみたいなチームが出てきたら愛されるだろう。今年はシティにプレミアリーグ優勝して欲しい。ノエルのために。